大人の麦茶第十七杯目公演「タイガーブリージング」

タイガーブリージング公演パンフレット


オトムギの舞台は「寝る子はキュート」「サンクユーベリーベリー」をそれぞれ1公演ずつしか観ていない自分だが、脚本の塩田氏の世界観、オトムギの役者陣にすっかり魅了されていた。だが、地方在住だと公演を観に行きたいと思っても、なかなか気軽に行けない現実が…。


今年に入ってすぐ、きっかがオトムギの本公演に出演するとの報。今の自分の置かれている状況とかそんなものは脇に退け、この公演に照準を合わせる事を決意。結果、9公演全てを観劇。公演期間中は毎晩キンキンに冷えたコーラ(アルコール入り)を飲んでタイガーブリージングの一時。

吉川友(月舘すばる)

去年の猫目2の時とは違い、最初から自然に演技や台詞を受け入れられた。猫目2・女優宣言である程度の基礎は出来ていると感じたから、そんな余裕が観ている側である自分の中で生まれたのだろう。事実、全公演観たがミスらしいミスはほとんどなかったように思う。ただ一つ気になったのが、台詞がない場面でにやけた?(はにかんだ?)ような表情を浮かべているのを多々見受けられた事。これは猫目2でも女優宣言でも見られたから癖なのだと思うが、是非改善して欲しいところだ。


女優としてのきっかも良いけど、やっぱり今しか出来ない(であろう)アイドルとしてのきっかをもっと見たいなと強く思った。それは、劇中「チーム2010」で歌って踊っている彼女の、喜びに満ち溢れた姿を感じ取ったから。


トークショーでは相変わらずのグダグダっぷり。質問に対して即答出来るに越したことはないのだが、一生懸命最適な答えを捻り出そうとしている姿も見ていて楽しい。彼女の中では「最適な答え=一番笑いが取れそうな回答」のようなので、思ったよりも笑いが起こらなかった時に「何で?」みたいな顔で客席を見渡すが、その姿を観察するのも一興。あと、梨華ちゃんに並木さんの笑い方をさせるという無茶振り。これこそ大胆不敵な彼女の魅力。高々1ヶ月余りの期間、芝居の稽古で一緒に過ごした程度で、エッグが大先輩の石川梨華に堂々と立ち向かうとか。あの、自由奔放な元美勇伝岡田唯でさえ長い間萎縮していたのに…。


今回、ロビーで並木さん・中神さんとお話しさせて頂く機会があり、両人とも「演技への集中力が凄くて、先の台本がなかなか完成しない状況で大変だったと思うのに、台詞覚えは早かった」ときっか・みーこに対して称賛のお言葉。それと、中神さんのきっかに対する印象は「不思議ちゃん」。

仙石みなみ(住枝都)

「みやこ」はストーリー上重要な役回り。女優宣言を観て知っているからみーこの演技も安心して観ていられた。きっか同様、目立ったミスはなかったし。ただ気になったのは、台詞の言い回しが一本調子に感じた事。確かに、強弱を付けて感情を表現していたとは思うのだが…。これは受け止める側の問題か?


真面目そうな役柄なのに出てくる台詞は一々面白いという、美味しい役。そして最大の見せ場である、父親と携帯で話すシーン…。本当に良い役貰ったなと羨ましく思った瞬間。


きっかとの焼きそば(のような別物?)を奪い合うシーン。腕力では確実にきっかの方が上なはずなのに、みーこ優勢で終わるのが多かった。やはり、あのみーこの足腰で踏ん張られると流石のきっかでもきついのか…?

池田稔(小鳥遊哲夫)

何度聞いても癒される声…。あ、もちろん良いのは声だけではないので。下手側で「天国に行く順番」を決めるシーン。きっかはその下手側で演じているので必然的に目線はそちら側に行くのだが、何気に上手側を観てみると池田さんの涙が…。今回も池田さんに心を鷲掴みされました。

宮原将護(田中情)

「ジョー」と「ナサケ」という二面性を瞬時に演じ分けなければならないという難しい役。そして、宮原さん自身はあまり「ジョー」のような激しい役をやった事がないと。今回、台詞を噛んだり飛ばしたり、ロープが上手く結べなかったり解けなかったり…色々あったが、それを補って余るぐらいの気迫を感じ取れた。演技の技術も大事だがそれよりもやっぱりハートだな。

斉藤佑介(横浜四郎)

今回、最もカッコ良く、最もみんなから愛されたであろう役。ナサケの二面性とはまた別の、「強気」と「弱気」を演じ分け、緩急の妙を楽しませてくれた。ナサケとの遣り取りはコミカルな部分が多く楽しめたけど、男と男の真剣なぶつかり合いも心地良かった。「俺(ナサケ)のなりたかった自分」であるヨコハマのような自分の心に真っ直ぐな生き方…憧れます。

石川梨華(長内鮎美)

梨華ちゃんの演技を観るのはリボンの騎士以来かな…? 場数を踏んですっかりベテランのような貫禄を醸し出していたね。今回の舞台では塩田氏をはじめ、虎安息組のメンバーから絶大な信頼を勝ち取っていたようで。そして、料理の方も上手になられたようで…。

大澤桂子(長内千笑)

舞台上とロビーとでは全然顔つきが違って、一瞬気が付かなかったぐらい…。ヨガの達人「チエ姉」は確かに癒し系でした。

橋本美和(長内小夜)

トークショーで「金星人」とか「土星人」とか言われていた「サヨ姉」。見ている限りではあまりそうは感じなかったのだが、相当不思議な人らしい。ちょっと気になるので機会があればまた…。

村上東奈(夏野楓)

ヨコハマの「かえぴょん!」発言に思わず吹いた。まさかここでそんな単語が聞けるとは…。くだらない話はさて置き、猫目2以来の村上さん。猫目2では何となく緊張しているのが伝わってくるような演技だったのが、今回は余裕を持ったような感じ。普段はボーイッシュな村上さんだけど、案外セクシー少女キャラは嵌まり役なのかも。

並木秀介(玉見トオル

「六日坊主」のキャラのインパクトが強過ぎて、外見が「イエモヒ」であるにもかかわらずまともに見えた。声のトーンを落として語る並木さんの姿に新たな魅力を見出させてもらえたのが、今回の収穫かな。そして、玉見の見せ場の一つである「天国に行く順番」を決めるシーン。カッコ良く決まったと思ったら、すばるの「先に死んでくれるんですね」、みやこの「先に死んでくれてありがとう」発言。その時の玉見の困惑した表情、最高でした。

深寅芥(陳鷹)

公演前、ブログ等の画像を見ると長髪にしている深寅さん。ちょっと怪しい感じに仕上がっているなと思っていたら、中国人役とは意表を突かれた。舞台に現れた瞬間「やられた」と思わせたあの役作りの完成度…。怪しげな風貌には似つかわしくない優しさを、言葉の奥底から感じさせる男、陳鷹。それを見事に具現化した深寅さんに脱帽。

最後に…

不本意ながら陰で公演を支える立場となってしまった中神さん。舞台で演じる中神さんを観たくて心待ちにしていたのに…残念。しかし、稽古の様子をブログで知っていくと、残念とかそんなネガティブな気持ちは吹っ飛んだ。そして、物販等でロビーの中を精力的に活動している笑顔の中神さんの姿を見ると、何か込み上げてくるものがあったな。


色々なバックグラウンドをも引っ括めて、塩田ワールド堪能させてもらいました。多少気になる部分もあったけど、それは個人の脳内で補完すれば良いかなと。


虎安息組の皆様。「吉川友」という明るく元気だけれども、ちょっと変わった生き物の面倒を見て頂きましてありがとうございました。本人に代わって御礼申し上げます。

タイガーブリージング
http://www.gekidan-online.com/blog/tiger/


塩田泰造のムギムギデイズ
http://www.otomugi.com/diary01/su2_diary.cgi


役者たちのチャチャ入れデイズ(池田稔並木秀介中神一保
http://www.otomugi.com/diary02/su2_diary.cgi


石川梨華さんの日記
http://www.mbga.jp/.pc/_dia_list?u=35356426


宮原将護オフィシャルブログ「叩けば誇りの出る身体」
http://ameblo.jp/shogo0718/


斉藤佑介オフィシャルブログ「サイト☆ユースケ」
http://ameblo.jp/saitoyusuke/


3食うな丼(深寅芥)
http://ameblo.jp/singtur/


橋本美和の気まぐれ日記
http://ameblo.jp/qiaoben6655/